このガイドは、AmazonA9(アマゾンの検索エンジン)について知っておくべき内容を全て網羅しています。
※ A9 とは、アマゾンの検索アルゴリズムを設計し、サーチエンジン開発するプロジェクト、また、そのプロダクトである検索エンジンも “A9” と呼ばれています。AXのブログ記事で A9 という場合、アマゾンの検索エンジンの事を意味します。 A9について詳しくは → https://a9.com/ )
Amazon A9 がどの様に機能するか理解し、
- 自分の商品を自分の望むキーワードにインデクス化したい
- 商品カタログをSEOの観点で最適化し、KWに対する検索順位を上げたい
こうしたことにご興味があるのであれば、このガイドは必ずお役に立つことができると確信しています。
A9アルゴリズムSEO #1: 自分の商品を理解する
Amazon A9 アルゴリズムは、商品ページの内容を解析し、それがどの様な商品なのかを理解しようとします。
例として、モバイルバッテリーを販売しているとします。まず必要な事は、自分の商品がモバイルバッテリーであるとA9に理解させる事です。これができて初めて、キーワード=モバイルバッテリーでの検索結果に自分の商品が表示される、その土俵に立つ事ができます。
おわかりでしょうか?
では、A9に商品カタログを理解させるにはどうすればいいか、みていきましょう。
まず、商品タイトル、仕様(箇条書き)、商品説明文、検索キーワードフィールドにて、商品の情報を正しく入力する必要があります。
これらが、アマゾンの検索エンジンがデータを解析する際に参照される主要なフィールドです。ですので、全てのキーワードがこれらのフィールドに含まれる様にすべきだ、と聞いたことがあるかもしれませんが、”使用される可能性がある全てのキーワードを文字通りに入れる” 必要があるか、というと、そうではありません。想像に難くないと思いますが、実際にそれを行うと、これはカスタマーにとって、ひいてはカタログにマイナスとなります。
アマゾンはその規約の中は、”Our algorithm accounts for stemming.“(検索アルゴリズムは Stemming -単語の派生による揺らぎ を考慮する) と明確に記載されています。
これは何を意味するかというと、例えば、アマゾンはカスタマーが ウォーターボトル “water bottles” を検索する際、検索に使用されるキーワードが、 “water bottles” でも “water botlte” でも同じ様に解釈してくれます。
もう少し詳しくみてみます。
これは、ウォーターボトル – water bottles の中でトップの人気商品です。
この商品カタログの検索キーワード欄には、”botlte” (スペリングが間違えています。正しくは “bottle” )というワードは登場しません。
しかし、下記のスクショでお分かりのように、”botlte” という単語を検索した結果、この商品は検索にヒットします。
A9は非常にスマートです。
まず必要な事は、商品カタログの内容は、カスタマーにとって理解できる内容で書かれていればよい、という事です。内容を詰め込みすぎると、理解しづらくなったり、強調したい強みもぼやける、など、逆効果になる事があります。
調査では、見込み客が商品カタログをみた時、50秒以内にそのセールスポイントが分からないと、離脱する、と言われています。
A9は、商品ページを理解する。まずはこれを覚えておきましょう。
次に、A9に、商品が属するカテゴリを理解させましょう。
A9アルゴリズムSEO #2: 自分の商品を正しく分類する
商品カタログ作成時、商品のカテゴリを分類する事ができます。
これはとても重要なステップです。
自分の商品を適切なカテゴリに分類して下さい。
この理由を説明します。
理由1:A9は、どのキーワードがどのカテゴリに関連するかを理解している
まず、A9がどれほどスマートにカスタマーの検索意図を解釈するか、みていきます。次の事を知ると、A9が思っているよりもスマートである、という事がお分かりいただけいるはずです。
A9は、キーワードがカテゴリと関連づくことを認識します。
例えば、モバイルバッテリー と検索するとき、A9は、カスタマーが携帯電話・スマートフォン関連の商品を検索していると判断します。そして、このカテゴリに登録されている モバイルバッテリー と関連性がある商品を検索結果に表示させます。
想像してみて下さい。
A9が、商品カテゴリを “ショッピングモールの売り場にある棚” の様なモノと認識するとします。棚はカテゴリによって区分けされ、それぞれのカテゴリに登録される商品は、そのカテゴリの棚に陳列されます。こうすれば、A9はカスタマーに、探しているモノがどこで見つかるかを簡単に案内できます。
これが意味する事は、もし、あなたの モバイルバッテリー を 赤ちゃん用品カテゴリに登録した場合、A9は モバイルバッテリー を検索したカスタマーを、スマートフォン関連商品の棚に誘導するので、あなたの商品は露出されない、という事を意味します。
こうしたメカニズムがあるので、下記の現象が起こる事があります。
- キーワードを商品カタログの各フィールドに複数箇所に複数回入れても、そのキーワードに商品がインデクス化されない(商品がキーワード検索でヒットしない)
- キーワードの検索順位が上がらない(仮に、割引などを使って拡散し、大きな販売数量をさばいたとしても)
- SP広告が、どんなに高い入札単価を設定しても、インプレッションを得られない
理由2:カスタマーが、カテゴリページで商品を探す
全てのカスタマーが検索結果から商品を探すわけではありません。
商品カテゴリでの絞り込みから買い物をスタートする人もいます。この方法は主流ではありませんが、絶対数としては少なくはありません。
クリスマスパーティの飾りを探していて、何を買おうか、具体的には決まっていないとします。
カテゴリから降りていく場合の動線は下記の様になります。
↓
↓
カタログを適切に設定していないと、多くのPVを取りこぼす事がお分かりいただけると思います。
次に、自分の商品にとって最適なカテゴリがどこか、見つける方法について見ていきます。
もっとも簡単なのは、競合商品のカテゴリをみる事です。
これで、A9に商品のカテゴリを適切に理解させる方法は分かりました。
次に、商品ページをキーワードにインデクス化(関連づける)する事について見ていきます。
A9アルゴリズムSEO #3: キーワードと自分の商品を関連づける
自分の商品とその見込み客が使用する検索キーワードをインデクス化(関連付ける)する事は、検索順位を高め、売上を上げていく為に、最も大切な事の1つです。
検索キーワードが商品にインデクス化しているか、確認する方法
Step 1: Chrome のプラグインをインストールしてください。
Step 2: キーワードを、ASINと設定し、適切な国を選択。
Step 3: チェックボタンをクリック。結果をまちます。
それぞれにキーワードがインデクス化されて検索でヒットするか、また、それらの検索順位、キーワードのアマゾンでの検索数など、結果は一目瞭然です。
このツールでインデクス化状況の確認をした後、検索キーワードの調整を行う際には、こちらの記事も参考にしてください。アマゾン検索キーワードSEO 〜 7つのゴールデンルール
この商品の例では、キーワード “glitter balloons”ではインデクス化されていませんでした。ここで、このキーワードをインデクス化しようと思うかもしれません。
ですが、少しだけまって下さい。
そもそも、このキーワードは、自分の商品にとって重要でしょうか? これは検索1ページ目に出したいキーワードでしょうか? もし、この判断がつかないと感じるなら、
このキーワードの検索ボリューム数を調べて見ましょう。
インデクス化の状況をチェックすると、検索ボリュームも結果として表示されます。このフィールドの値で結果を並び替えてみると、優先的に対策すべきキーワードの特定が、短時間で容易に行なえます。
例えば、“gold balloons party” というキーワードには、お金と時間を使うべきではないと思います。
こうした視点で、インデクス化されていない、かつ、対策をすべきキーワードを選びます。
キーワードをインデクス化する方法
- 商品カタログを最適化する
- スポンサー広告を運用し、マッチタイプ = 完全一致 インデクス化したいキーワードをターゲティングする
- 販売数量を増やす(※ ここでは、いろいろな方法があります)
- 割引などを使う方法
- SUPER URL(検索されたキーワードが何か示すパラメータを含むURL)を使用し、それ経由での販売実績をつくる
(2018年12月 追記:3-2 に記載の “SUPER URL 経由の購入” のSEO的な観点での効力は以前ほどの効力がなくなっている様です。これに代替する手段としては、かつてのSuperURL のように静的なURL(最初から決まっているURL)を使用せず、アマゾンのシステムが検索実行時に動的に生成するURLを使用する事です。具体的にいうと、検索実行時にシステムにより動的に生成されるURLに、検索キーワードと目的の商品(ASIN)を両方含ませればよいのです。この一例として、検索ワードとして “ASIN + KW” での検索結果のURLをカスタマーにリンクとして渡す、という事が考えられます)
この方法で、販売開始から5日間で、狙ったキーワードを全てインデクス化した、という事例があります。
それでは、詳しく見ていきましょう。
トリック#1:5つのフィールドの最適化(重要な順に)
- Listing URL
- 商品タイトル
- 仕様(箇条書き)
- 検索キーワード
- 商品説明文
Listing URL については、アマゾンSEO 〜 商品カタログ最適化 Step by Step の記事中で説明しています。
通常、このステップを経ると、80%のキーワードはインデクス化されると思います。
でも、なぜ全てでないのでしょうか。残りの20%は?
ここで、アマゾン公式のアナウンスメントの内容と確認してみましょう。
“Amazon reserves the right to not use all supplied keywords for retrieving products. Reasons for not using all keywords may include, but are not limited to, search computational efficiency, potential manipulation of keywords, irrelevant keywords, and offensive or illegal terms.”
Amazonは、提供されたキーワードの一部を商品検索に使用しない権利を有します。使用しない理由には、検索の処理効率、検索結果の改ざんの可能性、不適切な検索キーワード、攻撃的または違法な語句などが含まれますが、これらに限定されるものではありません。
では、A9 に選ばれなかったキーワードについては、どうすればいいのでしょうか、、、?
ここで、もう一つの強力なトリックを使います。
トリック#2:SP広告を使用し、インデクス化させる
- スポンサープロダクト広告を運用する
- 完全一致で、インデクス化させたいキーワードをターゲティング
- 入札単価を高くし、予算上限も高めに設定する
- それを5日間以上つづける
過去の経験では、(市場の競合性にもよりますが)上記を5日間運用することで、ほぼ全てのキーワードをインデクス化させる事に成功しています。
この背景にはどういった理由があるのでしょうか?
高い入札をする事で、結果的に、A9にそれらのキーワードの重要性を認識させる事を促進できる様です。というのは、まず、SP広告で入札を高くていs広告枠を検索結果の上位に表示させると、その経路からの販売実績ができます。ここでカスタマーのキーワード検索行動とその結果としての販売実績ができるわけですが、これにより、キーワードと商品カタログの関連性が高く評価される、という事が起こると考えられます。(これは、アマゾンがプラットフォームとして目指すべき方向性を考えると、そこにアラインした動きであると考えられます)
例えば、デイリーでの予算上限を$1000などと設定しても、それほど怖がる必要はありません。実際にそれが全て消化される事はまれです。
広告経由の販売実績がつきはじめると、早ければ3日程度で、キーワードのインデクス化が行われます。インデクス化が行われた後、広告の運用を中止しても、キーワードは引き続きインデックス化され、検索にヒットします。
もし仮に、広告を運用しても、販売実績がつかない場合には、どう考えればいいのでしょうか?
その場合、商品とそのキーワードの関連性が低い、と考えるのが妥当です。そうしたキーワードは無視しても大丈夫でしょう。
ですが、もし、そうしたキーワードが、非常に重要であるにもかかわらず、インデクス化されないとしたら、どうすればいいでしょうか?
トリック#3: 外部トラフィックから販売実績を作る
- SNSやメールリストに対して商品の拡散を行う
- アマゾンプラットフォームの外で広告をうってページビュー・CV を狙った期間で集中的におこす
- 商品の拡散時、SUPERURL を使用し、インデクス化したいキーワードでの販売実績を作る
(2018年12月追記: SuperURL に関する注意点は、本記事の “キーワードをインデクス化する方法” にて前述しています)
このトリックがA9に対するインパクトをもたらす要因は、トリック#2と同様、特定のキーワードからの販売実績を作るモノです。言い換えると、A9を教育しキーワードと商品の関連性を学習させ、それらを関連付けるような実績を作るというものです。
これで、より多くのキーワードがインデクス化されると思います。
A9アルゴリズムSEO #4: キーワードへのランク付けを高める
おそらく聞いた事があると思うのですが、どこかのアマゾンのエキスパートがいう 「キーワードは商品カタログのどこかに一度登場すれば十分。繰り返しは必要なく、キーフレーズ( ※ キーフレーズ、とは、スペースで区切った複数の単語の組み合わせ)の並びも意識しなくていい」という内容があります。
それはキーワードのインデクス化、という文脈では正しいでしょう。
しかし、商品のキーワードに対するランク付け、を目的するする場合、また別のお話になります。
ここで、アマゾンがA9ランキングアルゴリズムについて何と言っているか、見てみましょう。
“Items ranked according to the following criteria: how often the keyword appears in the description, where the keyword appears (the ranking is higher when keywords are found in titles and—if there are multiple keywords—how closely they occur in descriptions), and how often customers purchased the products they found using the keyword.”
“商品は下記のクライテリアによってランク付けされます。: 商品カタログ中にキーワードが何回登場したか、キーワードがどのフィールドに登場したか(ランク付けは、商品タイトルにキーワードが登場すると高い。また、複数のワードからなるキーフレーズの場合、キーフレーズを構成するワードが密接な並び順で登場する程に高い。),また、キーワードの使用の後での購入回数(回数が多いとランク付けが高くなる)。”
Amazon AWS Product Advertising API リファレンスマニュアルより
結論としては、商品カタログの、キーワードに対するランク付は、4つの要因によって決定されます:
- 商品カタログ中に登場する回数
- 商品カタログ中に登場する場所
- キーワード(キーフレーズ)を構成する単語の語順
- キーワード使用後の購入回数、CVR(転換率)
最近のABテスト結果をシェアします。
A: “essential oil diffuser” を商品タイトルに設定
B: “oil diffuser” in title, “essential” を仕様(箇条書き)に
結果: A は、Bよりも、キーワード “essential oil diffuser” の検索結果において、はるかに上位に表示される
全てのキーワードを、正しい語順で商品カタログに配置する事は、とても時間と根気を要する作業です。とくに、ロングテールキーワードが多い場合にはそうでしょう。
ここで、無料で使用可能なSEOビルダーを使用することをお勧めします。使用したいキーワードやキーフレーズの登場回数を自動で分析し、重要なキーワードが商品カタログの適切なフィールドに、ヌケ、漏れなく配置されているか、検証しながら商品カタログの最適化を行う事ができるツールです。
通常、重要なキーワードを検索1ページ目に登場させる為、それらをカタログ中に2,3回は登場させます。
この記事はA9の挙動について解説するので、最適化ステップについての詳細は別の記事でご紹介しています。アマゾンSEO 商品カタログ最適化 ステップバイステップガイド
商品カタログを最適化できれば、次のステップである販売実績を重ねる部分に取り組む準備ができました。
キーワード経由の販売を増やすには、SNSやメールリストなどを活用して商品を拡散をする事ができます。その際、全ての流入を、SUPERURL を通じて行うことで、ランク付けをさらに高める事ができます。
また、ここで、CVRを3倍に高めるトリックについてもお伝えします。
CVRを算出する方法は、
CVR = 販売数量 / クリック数
となります。
ですので、1バイヤーが商品を3つ購入した場合、CVRは300%となります。
これが、 CVRを3倍にした方法です。
具体的な方法としては、”3つ買うと 50% OFF”、などの割引キャンペーンを作成し、
さらに、Facebookなどのプラットフォーム外部での広告をうって拡散、なども効果的です。
この組み合わせは効果絶大です。ぜひ試してみて下さい。
この記事が Amazon A9の理解につながってくれれば嬉しく思います。そして、A9に対する商品ページの最適化の必要性と、その具体的な4ステップの方法についても理解し実践する準備ができれば、なお。ぜひ、実際にトライして結果を聞かせて下さい。
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